パイント。
めったに聞かない言葉であるが、アイルランドを旅すると毎日食事のたびに聞くことになる。ビールの量の単位でカップ一杯1 パイント2パイントと数える。日本でも英国風パブヘ出かけると聞くことができるらしい。パイントグラスというグラスにイギリスビールが入って出てくる。パイントグラスはジョッキと違って「取っ手」のないグラスであり、1パイント約570ml。けっこうたくさんの量である。多い人はハーフパイントと注文すれば良い。
アイルランドであるからアイルランドで作られているビールが出てくる。一番有名なのはギネスビールでギネスブックのギネスである。レストランで一番のお奨めの飲み物となる。どこのレストランでも置いてあり、アイルランドにいる間ずっと飲みつづける事になる。一パイントでは多いからハーフパイントで飲んでいたが、けっこう癖になるお味である。苦い、濃い茶色のスタウトビールであり、絹の様に細かい泡が上に乗っている。注ぐときにこの泡を注意深く作り出さなくてはいけないらしい。慣れてくるとこの泡がないとギネスではないと思うようになる。
映画「アンジェラの灰」だったか、もしかしたら他の映画かもしれない、忘れてしまったが主人公の父親が酒を飲むときに「ギネス一族を儲けさせる義務はないんだが」といいながらギネスビールを飲んでいた。それだけ生活の一部のギネスビールだと思う。ちなみにツアーではこの「アンジェラの灰」の舞台になったリムリックも通過した。ツアコンのお姉さんが「今バスの横に見えるパブがアンジェラの灰で呑んだくれのおとうさんが通い摘めたパブです」と叫んでいた。慌てて見たがきれいなしゃれたパブだった。あの悲惨なアパートも泥だらけの道も見えなかった。きれいな住みやすそうな町だった。「アンジェラの灰」は1930 年代の話しである。主人公はここの悲惨な生活に耐えられずアメリカへ行き作家として成功する。リムリックはアイルランドの西側、大西洋に面したシャノン川の河口にある。たくさんの人がここからアメリカを目指したらしい。今は全て過去の出来事になっていたが、唯一残っているのが、リムリックから出ていった人たちを見送る船着場である。そばのホテルの前には別れの辛さを表わして作ったモニュメントがあった。「ブロークンハート」というモニュメントで本当に心臓が壊れている。大動脈、右心房、左心房、心臓を取り囲んでいる細かい血管まで見える。かなり大きい。この心臓が壊れている。そして無造作にホテルの前に置いてある。リアルである。
ギネスビールはイギリスのビールと同じ製造行程で、日本やドイツのビールの下面発酵と違って上面発酵である。何が違うのかというと使っている酵母が違う。下面発酵は発酵の最後で酵母が下の方へ沈み、比較的低温で発酵する。ギネスビールを作り出す上面発酵は発酵中に酵母が上がってきて、比較的高温で発酵する。といってもさっぱりだと思うので、味がちょっと違う、あんまり冷やさないで飲むのがイギリス式のビールと覚えておけば良いと思う。けっこう、こくがあって慣れると美味しい。淡色のペールエールと濃い色のスタウトがあるがギネスはスタウトの中に入る。
ツアーでは当然のようにギネスビールの工場へつれて行かれ、20分ほどかけて製造過程を見学する。古いレンガ造りの工場の中には昔使っていたという発酵用の樽がある。大きさは4階建てのビルぐらい。下から仰ぐ様にして見上げた後に横に階段があってそこを上って行くと一番上で樽の中を見ることができる。内部には何も入っていない。この樽の大きさを見てくれというのだと思う。
工場はレンガ造りとは書いたが内部はもちろん近代的に造りかえられていて、エントランスは空調の効いた、写真パネルの張った広い部屋になっているし、その真ん中にしつらえられたSFに出てきそうなエレベーターにも乗せられる。カッコイイ制服に身を包んだお姉さんもいる。そして見学者はあちこちを引っ張りまわされ、ギネス一族の歴史と世界規模の販売量とビールの製造行程を頭に叩き込み、最後に試飲となる。
これにはルールがあって、工場の入り口で透明なプラスチック製のメダルのようなものを渡される。これは内部に泡のような空洞があって中に少量のギネスビールが入っている。「なんだろう?」と思うがこのメダルをなくしてはいけない。大事に握って製造工場を見学し、試飲コーナーへ持っていかなくてはいけない。そこでこのメダルを出すとめでたく1パイントのギネスビールが貰える。
試飲コーナーで注ぐ様子を観察したが、やっぱりこの泡を出すのに苦心していた。まずグラスのある一定の線までビールを注ぐ。そしてもう一度今度は泡を作りながらビールを注いでいた。だからこのビール一杯を注ぐのにけっこう時間がかかっている。味わって飲もう。
パイント一杯を美味しく飲んだ後は自由時間である。ほろ酔い加減で街を眺めても良い。試飲コーナーは工場の最上階にありガラス張りの展望室になっている。他の見学者のおじさんおばさんに混じってダブリンの街を眺めて酔いを覚ますのも楽しい。ギネスグッズを売っている販売店もある。ギネスの名前の入ったポロシャツやキャラクターもの、パイントグラスを飲みこんだダチョウの置物などが売っている。けっこう楽しいのでお土産にどうぞ。
ギネスビールを試飲
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| 日記
「ギネス」のお話し、楽しく読ませていただきました。
現地へ行って見学してきた気分になれましたよ。
こちらはガレージで缶ビールです。
http://blog.zaq.ne.jp/igarage/article/547/